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大阪高等裁判所 平成7年(ネ)2986号 判決 1996年6月28日

大阪市東住吉区杭全四丁目二番一五号

控訴人(一審原告)

有限会社大栄産業

右代表者代表取締役

桑原栄一

右訴訟代理人弁護士

片井輝夫

梅本弘

池田佳史

川村和久

右輔佐人弁理士

杉本勝徳

奈良県生駒郡安堵町窪田八五一番地の一

(商業登記簿上の本店所在地)

大阪府八尾市福万寺町二丁目八一番地五

被控訴人(一審被告)

山崎実業株式会社

右代表者代表取締役

山崎誠一

右訴訟代理人弁護士

宇佐美貴史

右輔佐人弁理士

柳野隆生

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第一  控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人は、原判決別紙目録(以下単に「別紙目録」という。)

(一)記載のアイロン掛け台を製造、販売してはならない。

三  被控訴人は控訴人に対し、金一〇〇〇万円及びこれに対する平成六年二月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

五  仮執行の宣言

第二  事案の概要

原判決七頁三行目の「別紙(三)」を「別紙目録(三)」と改めるほか、原判決の「事実及び理由」中、「第二 事案の概要」欄の冒頭部分及び一ないし四(二頁末行冒頭から八頁七行目末尾まで)に示されているとおりであるから、これを引用する。

第三  争点に関する当事者の主張

原判決の「事実及び理由」中、「第三 争点に関する当事者の主張」欄一ないし三(原判決八頁八行目冒頭から三三頁一行目末尾まで)に示されているとおりであるから、これを引用する。

第四  当裁判所の判断

一  当裁判所は、本件のような侵害訴訟の場において、まず、争点1(本件考案が出願前公知の技術であるか否か)、すなわち、被告のいう無効事由の存否から判断すべきものとは考えないので、この点についての判断はさておき、争点2(イ号製品は本件考案の技術的範囲に属するか)についてみるに、別紙目録(三)において特定されたイ号製品は、本件考案の構成要件Aの<1>にいう「裏面当接用屈曲部」の要件及び<2>の「一端相互が前記裏面当接用屈曲部の屈曲張出方向に対し鋭角となる方向の連結脚で一体的に結合された二本の支持脚」にいう「鋭角」の要件をいずれも充足せず、本件考案の技術的範囲に属しないものと判断する。その理由は、原判決の「事実及び理由」中、「第四 争点に関する判断」欄二1、2に示されているとおりである(但し、原判決五一頁一行目から九行目にかけての括弧書きの部分を除く。)。

二  控訴人が当審において主張するところも、イ号製品(検乙第三号証)が製造されたばかりのもので使用されたことのない物件であり、過年の使用による押圧力により変形した(コ字形部材の中心線と連結脚の中心線の角度が九〇度を下回ることになった)ものではないの点を除けば、全て原審における主張と同旨であって、それを採用し得ないことは原判決に示されているとおりである。

そして、イ号製品(検乙第三号証)に関する右主張も、本件において侵害品として審理の対象になっているのは別紙目録(三)において特定されたものであって、個々の検証物そのものではないことを考慮すれば、仮に、右イ号製品(検乙第三号証)がそれ自体としては、控訴人主張のとおりのものであったとしても、そのことは、別紙目録(三)において特定されたものは本件考案の構成要件A<2>にいう「鋭角」の要件を充足しないとした前示判断を左右するものではない。

右主張も採用できない。

第五  結論

よって、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却し、控訴費用は控訴人の負担として、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 上野茂 裁判官 竹原俊一 裁判官 長井浩一)

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